2008年 03月 14日
春おばの指定席 |

何時も、この家の角、壊れかけた雨戸井の下のコンクリートの所を見ると「春おば」を思い出す。物心がついた時にはすでに僕の廻りにいた人ですから、家族のような人でした。
彼女は、何時も、お袋の仕事が一段らくするのを、写真の家のあの角に腰掛けて
待っていた。彼女にお茶の時間をつげに行くのは僕の仕事でもあった。
彼女はタバコを吸っていた。時々、チリ紙に比較的長いシケモクを大事にしまっていた。
「これは、孫が拾ってきてくれた奴だ」といって上手そうに吸っていたのを思い出す。
お袋は、「いこい」だったか「しんせい」だったか買い置きして
なくなる頃を見計らって彼女に上げていた。
そういえば、春おばの連れ合いは腕のいい大工だった。
木っ端で、船や鉄砲、潜水艦のおもちゃを作ってもらった。
それらはゴムを動力にしてちゃんと動いた。
この場所には思い出がたくさん。
村が村であるためのたくさんの記憶の連続。
僕等はずーっと村人。多くの記憶を引き継ぐ者。
コミニュティーの再生の核となる物がこの土地の記憶である。
そして、生きてきたみんなの記憶が必要である。
by kawauchiide
| 2008-03-14 21:12
| 何てことない事